2023年の明和義人祭に参加してみての印象はいかがでしたか。
久保:
学生さんをはじめ、思っていたより若い方々の参加が多いお祭りだと感じました。少し意外だったのが神菓まきです。上棟式のように、伝統的なお菓子やお餅をまくものと思っていたのですが、そういったものではない今どきのお菓子を配っていたことに驚きましたね。あぁ、そこは現代的なのかと(笑)。歴史が感じられるものの中に今の感覚を取り入れていることで、特に若い方は参加しやすかったのではないでしょうか。
「涌井藤四郎」役を担当されました。役を引き受けての感想は。
久保:
涌井藤四郎については、正直にいうと「新潟町の自治を守るために町民を先導したリーダー、ただし奉行所を襲撃・占拠するなどの暴力を用いることも辞さない革命家的な人物」という印象を持っていました。「暴力を用いることも辞さない」という点においても、自分とはかけ離れた存在なのだろうと。ですが、藤四郎役を引き受けた後に書籍をよく読んでみたら、多少の誇張もあるかもしれませんが、言葉による合意形成、調整を以て、冷静に街の安全や人々の生活を守ろうとしたことが分かりました。最後まで町民のためを思い、自己犠牲をいとわず活動し、暴力ではなく、徹底して言葉を用いて合意形成を図る手法を取っていた点は、現在のまちづくりに通じる先進的な精神を感じます。藤四郎の人柄や考え方に共感しながら、役を務めさせていただくことができました。
岩船屋佐治兵衛役の相澤俊一さん、お雪役の古町芸妓・志穂さんとは良く知る間柄だったそうですね。
久保:
仕事でも関わることの多いお二人が一緒で心強かったです。私の普段の活動は、実際に相澤さんに支えていただいている部分も多く、年齢的にもマッチしていましたね。とても暑い日で待ち時間があったりもしましたが、志穂さん、相澤さんとお話をしながら、非常に有意義で楽しい時間を過ごすことができました。