山本さんの現在の仕事について教えてください。
山本:
大きく分けると3つになります。1つは人と組織に関する経営課題解決を目的とした、中小企業向けの社外CHRO(チーフ・ヒューマンリソース/ヒューマンリレーション・オフィサー)です。経営視点で社内の人事や組織づくりに関して幅広くハンズオン支援を行っています。2つは地域、企業、教育機関、自治体など異なる立場やステークホルダーがコラボレーションし新しいものを生み出す取り組みの企画・コーディネートを行う、協働コーディネーター。3つ目は、いくつか認定資格も保有しているキャリアコンサルティングやコーチング、発達支援などの個人向けの事業も展開しています。業務内容が多岐にわたるので「山本さんは一体何をやっている人?」と言われてしまうこともしばしばです(笑)。
企業の採用・人事に関する問題は、さまざまな場面で見聞きします。最近はどんな課題が多いですか。
山本:
基本オーダーメイドで支援を行っていますが、まずは問題の発見と課題設定から丁寧に入らせてもらっています。「うちの若手が主体的に仕事をしない」とか「採用しても定着しない」といったお話をお聞きすることから始まり、よく探ってみると、そこが課題や本質ではないケースが多々あります。実は氷山の一角で、その末端や深部には組織編制や人材育成に課題があったり、経営戦略や事業戦略が定められていないせいで「どんな人を採用したいか」が明確でない場合は非常に多い。そのため採用から逆算して、企業の課題を見つけていくことからスタートすることもあります。そもそも経営者や社員の方々は人材領域の専門性を持ってないことがほとんどで、特に中小企業においては、私のような立場の外部人材を起用し協同するといった発想がないというケースもありますね。自分たちでだけで抱えてしまうということも問題の一因です。
山本さんは”伴走型”の支援に注力されているそうですね。
山本:
私は組織や人事コンサルではなく、社外CHROとして組織の中に入り込んで、経営者や社員の皆さんと共に組織を変えていくという認識でいます。やり方は色々ありますが、プロジェクトを社内で立ち上げリーダーになりそうな若手の方を巻き込み中長期的なリーダー候補の育成を行ったり、採用した人が活躍し経営戦略に貢献していけるようになるまで育成計画の立案と支援策を講じるなど、中長期的視点でトータルに考えるのは一般的なコンサルとは異なる点だと思います。伴走型コンサルティングとなると基本は企業の中に入り込み、早くて1年、振り返って大きな変化が感じられるまでは大体3年はかかります。その間には求める人材像と面接の際の質問事項の設計、面接に同席して面接者のコンピテンシーやポテンシャルの見極めをはじめ、未来に向けてどういう会社になりたいか、そこに向けてどんな人に入ってほしいかの言語化なども行います。時間と手間、必要経費を惜しまないこと、求める人材像や発信する情報整理を行うだけでも、確実に組織は変わっていけると思っています。「採用がうまくいかない」という企業は、だいたいこれらが欠如し場当たり的に採用活動をし、検証せず失敗を繰り返しているパターンがあります。人や企業に問いかけて変化を起こしていく仕事という点では、この3つの仕事はどこかでつながっているとも思っています。