久保さんは大学時代から花街の研究に取り組んでいらっしゃいますが、花街に興味を持ったきっかけから教えてください。
久保:
もともとは建築士を目指して新潟大学の建築学科に入ったのですが、3年生の終わり頃、花街の都市空間についても研究をし始めたという都市計画研究室に出会ったんです。大学4年生になるまで「花街」という町は小説でしか知らない世界でしたし、「花街」という伝統文化・地域文化を丸ごと今に継承している場所があると知って衝撃を受けました。高校生の頃から民俗学や文学系が大好きで、街の文化にも関心があったこともあり、その研究室に入ることにしました。伝統文化や目に見えない歴史などを考えていく方が、自分の気持ちに合っていたというのもありますね。
大学時代はどのような研究を。
久保:
東京・八王子の花街の景観やまちづくりをテーマに研究をすることになりました。同時に研究室の学生として、古町花街のイベント運営の手伝いをする中で、古町花街の魅力にも気付かされました。「新潟にもこんなに素晴らしい歴史や文化があったのか!」と再び衝撃を受けまして(笑)。それから古町花街のまちづくり活動にどっぷりと入っていくことになって、今に至ります。思えば、最初に花街と向き合う中で生まれた「花街の景観とまちづくり」という課題が、私の研究やまちづくり活動の終生のテーマであり、原点です。